脱日本!海外就職をするために役立つ3つのルール

1.海外で働くという選択肢

1-1 国際化が進む就労環境

フィリピンの語学学校のスタッフ

長時間労働や休日出勤、サービス残業など、日本における労働環境は年々悪化の一途をたどっています。

その一方で、少子高齢化が進む日本では労働人口が急速に減少しており、その不足分を外国人労働者に依存せざるを得ないのが現状です。激しい国際競争に晒されている日本企業は、コストを下げるために安くて優秀な労働力を外国人労働者に求めており、次々と生産拠点を賃金が高い日本から安い海外の国々に移しています。

また、ロボット開発技術の進歩により、これまで私達が行なって来た仕事の多くが、近い将来ロボットに奪われるであろうという研究結果も出ています。

では、私達日本人は、今後どこで何の仕事をして行けば良いのでしょうか?

1-2 雇用における日本と海外との違い

パソコンスペース

日本の雇用制度の大きな特徴として「終身雇用制度」と「年功序列制度」の2つが挙げられます。

歴史的に、日本企業はこれらの制度によって発展し、また社員はその恩恵を受けてきました。
社員の生活はこれらの制度に保障され、結果的に日本企業の発展につながりました。

しかしながら、近年の時代の変化と共に、これらの制度は維持することが難しくなってきています。

終身雇用制度は、これまでの日本における雇用制度の大きな特徴の一つであるといえます。
終身雇用制度により、大企業は正社員として採用した新卒者を定年まで雇い続けます。

社員は研修や教育を受け、会社にとって最適と思われる部署へ配属されます。企業側は経済状況が厳しくなっても、労働者の解雇や一時解雇を行わないようにします。

終身雇用制度は、戦後日本の長期にわたる経済成長期にはうまく機能しました。

しかし、1990年代から続いた経済の低迷と労働力の高齢化により、日本の終身雇用制度は崩壊し始めました。

もう一方の年功序列制度は、終身雇用制度と共に維持されてきました。

会社は非常に幅広い雇用分類や職位を設けて給与体系を作り、それに基づいて社員に給与を支払います。社員の給与は基本の初任給から始まり、勤務年数が上がるにつれて給与も上がります。

一つの会社で数年働けば、他の会社で新しく働き始めるよりも高い給与を獲得することが出来る仕組みになっているので、年功序列制度は労働者の転職を抑制します。

年功序列給与制度では若い社員の給与は低めですが、その後、たとえその社員の生産性が落ちたとしても、後年になってからその見返りとなるだけの高い給与が支払われます。

これら2つの制度は、労働者にとって最初に就職した企業で働き続ける強い動機となってきました。

自習スペース

これらに対し、海外(特に欧米)では基本的に、同じ仕事には同じ賃金が支払われます。

日本と違って職種ごとの組合が強く、会社というものに拘らない「職務内容」がまずあり、同じ仕事に対して同じ賃金を支払われるのだからどの会社でやっても同じ、という発想に基づいています。

それぞれに適した仕事があり、ずっと同じ仕事をし続けるけれども、同じ会社にいる必要はないのです。つまり、仕事間は移動しませんが、会社間は移動するという訳です。

日本以上に、欧米では若年層の失業率が高いとも言われています。

その理由として、日本と違って中高年も若者も仕事の報酬は同じという点があります。

なので、企業は同じ賃金を支払うのだから、できるだけ実力のある熟練労働者を雇おうとし、結果的に実力で若者は仕事に就けなくなるという訳です。

このように、「日本式」も「欧米式」も一長一短なところがあります。

もしあなたなら、どちらが自分に向いていると思いますか?

1-3 日本人が海外で働く際に注意しなければならないこと

海外で働く日本人

海外では、権利を主張すること、自分の意見を持つことが当たり前の国なので、働いてもらう人やプロジェクトの利害関係者には、その業務をやる理由や、ポリシーを実装する理由を理詰めで説明し、納得してもらわないと動いてくれません。説明や説得が得意ではない人や、コミュニケーションが不得意な人には辛い環境です。

曖昧な物言いは通用しませんし、日本的に「友達だからやってくれ」が通用しないのです。

自分の担当以外の業務をちょっとやってもらう、というのも難しいので、柔軟な対応というのは期待できません。合意や説明には文書が基本になるので、文書を作る手間がかかります。

書くのが不得意な人が管理職になったりプロジェクトマネージャになると大変です。

また、基本的には実力主義の社会なので、常に数値など目に見える形で自分の実績を証明しないと、希望するポストや報酬を得ることができません。自己アピールが得意ではない人には辛いです。さらに、実績主義だと、できる人にはそれ相応の報酬を払わないと仕事してもらえないので、人件費が高騰することもあります。また、それといった技能がない人の報酬は低いです。

ニューヨークやロンドン、パリなど欧米の大都市は、日本の大都市に比べると多種多様な人が働いていますので、差別や労働者保護に関する法規が複雑です。知らないうちに法規を犯してしまったとか、従業員に訴えられてしまう、ということがない様に、差別や宗教的なタブーに気を使わなければなりません。知らなかったでは済まないのです。

欧米の大都市は、世界中から様々な人が集まっているので、職場やプロジェクトによっては、メンバーの間に共通する文化的基盤が全くないことがあります。共有する物がないと最初からすべて説明しなければなりませんので、大変な手間です。

海外の街並み

その反面、良い点としては、契約社会なので働く人各自の担当すること、業務の条件、報酬、目標が文書上で明確になっていることです。合意した以外の業務を押し付けられたりすることは原則的にありません。実力主義なので、評価されるのはスキルや稼げるお金の金額です。

また、「男だから」とか、「女だから」といった性別による扱いの違いもありません。

なので、国籍や性別にあまり関係なく稼ぐことが可能です。フリーランスや経験年数が短い若い人でも、何か光るものがあれば、チャンスを与えてもらえたり、それ相当の報酬をもらえることがあります。

「減点主義」ではなく「加点主義」なので、何をどのくらい間違えたではなく、何々ができる、何々で儲けたなど、他人とは違う才能や実績があることを評価してくれるのも良い点です。

また、仕事で不当な差別やイジメなどが会った場合に訴えることができる仕組みがあることは心強いです。また意外な点ですが、業務の流れを文書化したり、業務を補助する情報システムなどには積極的に投資しますので、仕事のやり方が効率的です。

ニューヨークやロンドン、パリには世界中から人が集まってくるので、働く人が本当に多様です。比較的規模が小さな職場であっても、国連総会の様に様々な人が集まっています。様々な人がいるので、異なる文化や異なる考え方に触れることができるのは大きな魅力です。グローバルな 視点で業務を動かして行くことが多いのも面白いです。

2.海外で就職・転職するために必要な英語力は?

2-1 必要なTOEICスコアは?

TOEIC公式試験の様子

海外で働くには、英語力は大きなポイントです。

英語で電話を受ける、社内文書がすべて英語、そしてプレゼンテーションすら英語を求められる・・・これらのすべてを何とかこなしていくためには、どれくらいの英語力が必要なのでしょうか?

TOEICの運営機関である国際ビジネスコミュニケーション協会によれば、大まかに分けてこれくらいの語学力が必要というデータが出ています。

●技術部門 650~800
●営業部門 600~750
●海外部門 550~750

平均すれば700点程度はとっていないと使い物にならない、という訳です。

また、逆に700点あれば安心、というわけではなく、個人個人のコミュニケーション能力によっては、800点とっていても一緒に働くには不十分というケースもあるかもしれません。

また、もしあなたがアメリカ人と肩を並べて働きたいと思うのなら、何はなくともまず「ビジネスレベルの英会話力」は必須です。

ビジネスレベルとは、アメリカ人の中に1人で加わって一緒に仕事ができる程度を指します。

ネイティブのような英語力は必要ありませんが、意思の疎通ができる程度の会話力は必須です。

その場合、目安として、TOEIC850点以上あると安心でしょう。

なお、技術職、専門職においては、英語よりも実務経験、技術を重視される傾向があります。

また、英語が得意でない方は、日本語比率の高いお仕事だったり、業界を絞ったりすることで対応をすることができます。

また、英語以外では、最近需要が高まっているのが中国語、韓国語です。

これまで日米間で行われてきたビジネスに、新たに中国や韓国が加わるケースが増えているためです。英語の他にこれらの語学の知識もある方は、就職先の幅がグッと広がります。

2-2 コミュニケーション能力の重要性

海外で働く上で、一番必要なのはコミュニケーション能力だと思います。

もちろん、日本で働く際もコミュニケーション能力は大切ですが、海外では、日本とは全く異なる環境に適応するために、特にコミュニケーション能力が問われると考えます。

例えば海外では、仕事の場面でも、個人としての意見をまず最初に聞かれます。

組織としての意見や上司の意見ではなく、自分自身がどう考えているのかを重視していることが分かります。そういった場面で、自分の意見を相手に伝えられる本質的なコミュニケーション能力は、語学力以前にとても重要だと思われます。

最初に働き始めた時というのは、海外に知り合いは誰もいません。

そんな中で頼りにしていきたいのは、やはり職場での人間関係です。

コミュニケーション力がない人であれば、仕事を覚える前に、その時点で挫折してしまう可能性が出てくるのです。

日本で働く時でも同じことが言えますが、コミュニケーション力がいかにあるかによって、仕事上でも上手く人間関係を築いていけるかのポイントになるのです。

なので、もしあなたが海外就職をしたいと考えているのであれば、英語力に加えてコミュニケーション力がある人が向いているといえます。

2-3 ガッツさえあれば、何とかなる?

海外就職をするからといって、一概に高い語学力が必要であるとは言えません。意外にも、日本語が話せれば、他の外国語が必要ないという求人も多く存在します。

特に、電話やSkypeなどを利用した仕事においては、勤務地は海外であっても、顧客も上司も同僚もほとんどが日本人であることも多く、日本語だけ話せれば問題ないケースが多いです。

また、日本語学校の教師においては、「直接法」と呼ばれる日本語のみを使った日本語教育を行なう学校もあり、その場合は、電話やSkypeなどを利用した仕事と同様に、日本語だけ話せれば問題ないケースもあります。

3.海外就職をするためには

3-1 英語力よりもっと大切なものとは

フィリピン留学でボランティア活動をする日本人留学生

海外で働くために最も必要とされるものとは何か。

英語圏であれば、もちろん英語力も重要です。英語が話せないと、仕事はもとより、目の前の相手とコミュニケーションをとることができません。

「言葉が通じない」ことの他にも「飯がまずい」「ルームメイトと合わない」など、実際に行ってみないと分からない問題があります。

行く前に夢見ていた生活とのギャップに苦しみ、「もう帰りたい!」という気持ちになり、実際に帰国してしまうケースもあるようです。

しかし、どんなにつらい状況でも、明確な「目的意識」さえあれば乗り切ることができます。

「自分は何のためにここにいるのか。」

その答えが明確であれば、モチベーションを高く保つことが出来るでしょう。

3-2 海外で働くのに向いている人の特徴

海外で成功するためのポイントとは何か。

ハッキリと自分の意見を主張する人たちの中に混ざって対等に渡り歩いていくためには、

「まず自分から動くこと」です。

仕事で何か困ったことがあっても、「外国人だから」という理由で会社が、あなたに優しくしてくれるはずがありません。

海外では「どんどん前に行くやつ」が良しとされます。

たとえ言葉が通じなくても、身振り手振りで何とかコミュニケーションをとろうとするようなガッツある人は、必ずや成功することでしょう。

周りに遠慮して謙虚でいることを美徳とする日本とは違います。海外では仕事でもプライベートでも、どんどん積極的な行動を心がけましょう!

3-3 海外就職において必要なアピールポイントとは

英語でスピーチの様子

海外の人は、日本人に対してどんな印象を持っているのか。

実はそれこそが、日本人が海外で就職する際に大いにアピールできるポイントなんです。

海外では、「協調性」「きめ細かさ」「時間厳守」「謙虚さ」などは、日本人特有の性質とされており、海外の企業からは「日本人らしさ」として高く評価されています。

特にチームプレーを重んじる日本人の特性は、あなたが思っている以上に海外就職において大きなアドバンテージです。

もはや、日本人であること自体が、すでに大きな武器になっているのです。

日本の会社にとっては当たり前のこととしか見られない「協調性」も、海外では特別なものとして優遇される可能性が高いです。

面接などでは、ぜひともアピールすべき事項でしょう。

最後に

これからの時代は、日本においてもどんどん色んな人種の外国人が優秀な労働者として働き、国際化が進んで行きます。

国際化に対応できる人間になるために、どんどん海外に出て、世界には色々な働き方があり、日本での働き方は、あくまでも一つの形に過ぎないという事を知るべきでしょう。

そして、世界のどこに行っても、日本人が持つ「日本人らしさ」を大切にし、それを働く上でも生活していく上でもアピールポイントにできるよう、磨いて行きましょう!