
フィリピン留学中、学校の周辺や住宅地、観光地などで犬や猫を見かけることがあります。人に慣れているように見える動物もいますが、ワクチン接種歴や健康状態を見た目だけで判断することはできません。
もし犬にかまれたり、猫に引っかかれたりした場合は、「傷が浅いから大丈夫」「血がほとんど出ていないから問題ない」と自己判断せず、すぐに傷口を洗って医療機関を受診してください。フィリピンでは狂犬病への注意が必要で、CDC(米国疾病予防管理センター)も、フィリピンでは狂犬病に感染した犬が広く確認されていると案内しています。
この記事では、フィリピン留学中に犬や猫などの動物にかまれた、引っかかれた場合に何をすればよいのか、傷口の洗い方、Animal Bite Treatment Center(ABTC)での受診、狂犬病ワクチン、学校スタッフや保険会社への連絡まで、フィリピン留学を扱うファーストイングリッシュが現地での対応を順番に解説します。
Contents
フィリピンで犬や猫にかまれたらすぐに対応が必要

フィリピンで犬や猫にかまれた場合は、傷の大きさだけで判断せず、狂犬病の可能性を考えて早めに対応する必要があります。狂犬病は発症すると致死的な病気ですが、動物との接触後に速やかに適切な処置を受けることで発症を防ぐことができます。
フィリピンでは犬を中心に狂犬病への注意が必要
CDCのフィリピン旅行者向け情報では、フィリピンでは狂犬病に感染した犬が広く確認されていると案内されています。一方で、狂犬病ワクチンは国内の多くの地域で入手可能とされています。
大切なのは、動物との接触後にすぐ行動することです。犬にかまれたあと、症状が出るまで様子を見るのは避けてください。かまれた時点で傷口を洗い、医療機関を受診します。
フィリピン留学中に注意したい感染症や体調不良全般については、フィリピン留学で注意したい病気・体調不良対策完全ガイドでも紹介しています。この記事では、その中でも動物との接触と狂犬病への対応に絞って解説します。
小さな傷や引っかき傷でも自己判断しない
犬や猫との接触では、深くかまれたときだけ注意すればよいわけではありません。WHO(世界保健機関)は、皮膚を破る咬傷だけでなく、軽い引っかき傷や擦り傷、傷のある皮膚に動物の唾液が触れた場合なども、接触の程度に応じて狂犬病の曝露として評価しています。
そのため、「少し赤くなっただけ」「血がほとんど出ていない」「子犬だった」といったことは、受診しない理由にはなりません。傷の状態だけではなく、接触した動物や接触の仕方も含めて医療従事者が判断します。
犬だけでなく猫やコウモリなどとの接触にも注意する
狂犬病で特に注意されるのは犬ですが、対象は犬だけではありません。猫などの哺乳類との接触でも、かまれたり引っかかれたりした場合には受診が必要になることがあります。また、WHOではコウモリとの直接接触も重い曝露として扱っています。
「猫に引っかかれただけ」「犬ではないから大丈夫」と決めつけないでください。見知らぬ動物との接触があり、皮膚に傷ができた場合や、傷のある皮膚や目・口などの粘膜に唾液が触れた可能性がある場合は、医療機関へ相談してください。
フィリピンで犬・猫にかまれた直後にすること

フィリピン留学中に犬や猫にかまれた場合、最初に重要なのは、受診先を探すより先に傷口を十分に洗うことです。その後、学校スタッフへ連絡し、できるだけ早く医療機関へ向かいます。
傷口を石けんと流水で15分以上洗う
WHOは、狂犬病の可能性がある動物との接触後には、傷口を石けんと水で少なくとも15分間洗うことを重要な初期対応としています。流水が使える場所へ移動し、かまれた部分や引っかかれた部分を十分に洗ってください。
傷が小さい場合でも同じです。出血が少ないからといって、軽く水をかけるだけで終わらせず、15分以上しっかり洗ってください。石けんがすぐに見つからない場合でも、まずは水でよく洗い、その後できるだけ早く医療機関へ向かってください。
消毒だけで終わらせず学校スタッフへ連絡する
消毒薬を使っても、それだけで狂犬病への対応が終わるわけではありません。
傷口を洗ったら、語学学校のスタッフへ「犬にかまれた」「猫に引っかかれた」と伝えてください。学校側が普段利用している医療機関や、近くのAnimal Bite Treatment Centerを確認できる場合があります。留学生が慣れない土地で一から受診先を探すより、学校スタッフに状況を共有したほうが移動や受診を進めやすくなります。
できるだけ早く医療機関を受診する
傷を洗ったあとは、できるだけ早く医療機関を受診してください。WHOは、狂犬病の曝露後予防(PEP)として、傷口の洗浄、狂犬病ワクチン、必要に応じて狂犬病免疫グロブリンなどを推奨しています。
「血が少ししか出ていない」「飼い犬に見えた」「元気そうな犬だった」「傷が浅い」といった見た目だけで、治療が不要かどうかを留学生自身が決めることはできません。狂犬病ワクチンや免疫グロブリンが必要かどうかは、接触状況や過去の予防接種歴などを確認したうえで医師が判断します。
動物の特徴・場所・時間を覚えておく
安全に確認できる範囲で、接触した動物の種類や特徴、かまれた場所、時間、飼い主がいたかどうかを覚えておくと、受診時に状況を伝えやすくなります。場所が分かりにくい場合は、スマートフォンの地図で位置を残しておくと受診時に説明しやすくなります。
ただし、動物を追いかけたり、捕まえようとしたり、写真を撮るために再び近づいたりする必要はありません。追加でかまれる危険があるため、情報を集めることよりも自分の安全を優先してください。
フィリピンではどこで狂犬病の処置を受ける?

フィリピンには、動物にかまれた人の診察や狂犬病への曝露後予防を行うAnimal Bite Treatment Centerがあります。略してABTCと呼ばれ、病院や保健当局の関連施設などで運営されています。
Animal Bite Treatment Center(ABTC)で相談できる
ABTCで受けられる処置は施設によって異なりますが、犬や猫などにかまれた、引っかかれた人に対して、傷の確認、狂犬病ワクチンの接種、必要に応じた狂犬病免疫グロブリン、破傷風への対応、創傷処置などが行われています。
たとえばフィリピン保健省傘下のDavao Regional Medical CenterにあるABTCでは、狂犬病ワクチン、狂犬病免疫グロブリン、破傷風ワクチン、創傷処置などを提供しています。ただし、診療日や受付時間、利用できる薬剤は施設によって異なります。留学先の学校スタッフや医療機関に連絡し、その時点で受診できる施設を確認してください。
狂犬病ワクチンや免疫グロブリンが必要かは医師が判断する
動物にかまれたからといって、全員が同じ処置を受けるわけではありません。WHOは動物との接触の程度によって区分しており、軽い引っかき傷でもワクチンが必要になる場合があり、皮膚を破る咬傷や傷のある皮膚への唾液の接触などでは、ワクチンに加えて狂犬病免疫グロブリンなどが必要になる場合があります。
WHOの区分を自分で当てはめて、受診の要否を判断する必要はありません。傷の深さだけでなく、接触した動物、接触部位、唾液との接触状況、過去の狂犬病ワクチン接種歴などを医師へ伝え、必要な処置を判断してもらってください。
予防接種済みでも動物にかまれたら受診が必要
渡航前に狂犬病ワクチンを接種している方でも、犬や猫などにかまれたあとの受診が不要になるわけではありません。WHOも、事前接種を受けていても曝露後の対応は必要としています。
事前接種歴がある場合は、いつ、どのワクチンを接種したのかを医師に伝えてください。接種済みかどうかによって、接触後に行う処置が変わります。接種証明書や予防接種記録がある場合は、渡航中も確認できるようにしておくと受診時に役立ちます。
ワクチンは信頼できる医療機関で受ける
CDCのフィリピン旅行者向け情報では、フィリピンFDAが一部の狂犬病ワクチンや抗血清の偽造品流通を報告しているとして注意を呼びかけています。
そのため、狂犬病ワクチンが必要になった場合は、価格だけを理由に入手先を選んだり、非正規の販売ルートから購入したりせず、病院やABTCなどの医療機関で診察を受けたうえで接種してください。接種する製品や回数も、診察した医師の指示に従ってください。
フィリピン留学中に犬や猫との接触を避ける方法
留学中の狂犬病対策では、見知らぬ動物に近づかないことが基本です。フィリピンでは、学校周辺や住宅地だけでなく、ビーチや観光地、飲食店の周辺などで犬や猫を見かけることがあります。
野良犬・野良猫には触らない
野良犬や野良猫を見かけても、近づいたり触ったりしないようにしてください。おとなしく座っている犬や、人の近くに寄ってくる猫であっても、狂犬病ワクチンの接種歴や健康状態は外見からは分かりません。
首輪がある、飼い主が近くにいるというだけで安全とは判断できません。飼い主がいるように見える動物でも、むやみに触らないことが基本です。
かわいくても餌を与えたり近づいたりしない
犬や猫に餌を与えると動物との距離が近くなり、接触する機会が増えます。複数の犬や猫が集まってくることもあるため、見知らぬ動物には餌を与えないようにしてください。
写真を撮りたいときも、動物に近づく必要はありません。ほんの短時間でも、かまれたり引っかかれたりすれば受診やワクチン接種が必要になる可能性があります。留学生活では、動物を見つけても一定の距離を取る習慣をつけておきましょう。
親子留学では子どもが動物へ近づかないよう注意する
親子留学では、子どもが犬や猫を見つけて「触りたい」と近づくことがあります。日本でペットと暮らしている子どもでも、現地の見知らぬ動物には同じ感覚で触れないように伝えておきましょう。
出発前から、「知らない犬や猫には触らない」「餌をあげない」「追いかけない」という約束を家族で確認しておくと、現地でも声をかけやすくなります。もし子どもが動物にかまれたり引っかかれたりした場合は、傷が小さく見えても保護者だけで判断せず、傷口を洗って学校スタッフと医療機関へ連絡してください。
観光地やビーチでも見知らぬ動物には触れない
注意が必要なのは学校の近くだけではありません。フィリピン留学では、週末にビーチや観光地へ出かける機会があります。そうした場所で犬や猫を見かけても、見知らぬ動物には触れないようにしてください。
写真を撮ろうとして不用意に近づかないようにしましょう。食事中の動物や、子犬・子猫のそばにいる親犬・親猫には特に距離を取り、進路を変えるなどして接触を避けてください。
犬や猫にかまれたときは学校スタッフ・保険会社にも連絡する

フィリピン留学中に犬や猫にかまれた場合は、傷口を洗って医療機関を受診することを優先しながら、学校スタッフと海外旅行保険の窓口にも連絡してください。その後の移動や医療費の確認を進めやすくなります。
学校スタッフへ伝えて受診先を確認する
動物にかまれた直後は、「どの病院へ行けばいいのか」「近くにABTCがあるのか」「受付で何と説明すればいいのか」と迷うことがあります。まず学校スタッフへ状況を伝え、受診できる医療機関を確認してください。
英語で説明する必要がある場合は、「I was bitten by a dog.」「I was scratched by a cat.」のように、何の動物に、かまれたのか、引っかかれたのかを伝えます。接触した時間や場所も分かれば、あわせて伝えてください。
病気やケガなど、フィリピン留学中にトラブルが起きた際の連絡や対応については、フィリピン留学中にトラブルが起きたら?盗難・体調不良・学校トラブル別の対応フローでも紹介しています。
海外旅行保険の利用方法を確認する
医療機関へ向かう前後には、加入している海外旅行保険の連絡先も確認してください。保険会社や契約内容によって、キャッシュレス診療に対応できる病院、いったん本人が医療費を支払う場合の手続き、必要な書類などが異なります。
犬や猫にかまれたあとに狂犬病ワクチンなどの処置が必要になった場合、複数回の通院が必要になることもあります。補償対象や連絡手順は契約によって違うため、受診先とあわせて保険会社にも確認しておきましょう。
フィリピン留学の保険選びや補償の考え方については、フィリピン留学は保険に入らないと留学できない?海外旅行保険の費用と選び方で詳しく紹介しています。
帰国後も接種が続く場合は狂犬病ワクチンの記録を保管する
現地で狂犬病ワクチンの接種を始めたあと、接種日程の途中で日本へ帰国する可能性もあります。その場合に備えて、接種した日付、ワクチン名、接種した医療機関、接種記録が分かる書類を保管してください。可能であれば、ワクチンの製品名が分かる記録や写真も残しておくと、帰国後に医師へ状況を伝えやすくなります。
CDCは、海外で受けた狂犬病の曝露後予防について、WHOが認める方法で完了しているかどうかなどによって、その後の追加対応が必要になる場合があると案内しています。帰国後も接種が続く場合や、現地で受けた処置について確認が必要な場合は、接種記録を持参して日本の医療機関へ相談してください。
動物にかまれたら小さな傷でも放置せず受診しよう
フィリピン留学では、犬や猫を見かけること自体は珍しくありません。見知らぬ動物には触らず、もし接触して傷ができた場合はすぐに傷口を洗って受診することを覚えておきましょう。
犬にかまれた、猫に引っかかれた、傷のある皮膚に動物の唾液が触れたといった場合は、傷口を石けんと流水で15分以上洗い、学校スタッフへ連絡したうえで、できるだけ早く医療機関やABTCを受診してください。傷が浅い、出血が少ない、動物が元気そうといった理由だけで受診をやめないようにしましょう。
渡航前に狂犬病ワクチンを接種している場合も、動物との接触後の受診は必要です。現地でワクチン接種を受けた場合は記録を保管し、海外旅行保険の利用方法も確認しておきましょう。接種記録は、帰国後に日本の医療機関へ相談するときにも役立ちます。
いざというときに迷わないよう、最初に何をするかを出発前に知っておきましょう。犬や猫にかまれたり引っかかれたりしたときは、自己判断で様子を見ず、傷口を洗い、学校へ連絡し、医療機関を受診してください。
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