
英語を学ぶための海外留学と聞くと、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどを最初に思い浮かべる方は多いでしょう。一方、日本ではフィリピン留学も身近な選択肢になっています。
では、日本だけではなく世界全体で見ると、フィリピンは英語留学先としてどのくらい人気なのでしょうか。
実は、「フィリピンは世界で英語留学先第○位」と示せる共通の世界ランキングはありません。世界の英語留学市場では、イギリスやアメリカなど従来から大規模な留学生を受け入れてきた国と、フィリピンのように近年規模を広げている留学先では、使われている統計の枠組みが異なるためです。
一つの世界順位を出すことはできませんが、世界の英語教育市場を調査するBONARD、日本の海外留学協議会JAOS、各国の留学エージェント調査を組み合わせることで、フィリピンが英語留学市場でどの位置にいるのかを確認できます。
この記事では、フィリピン留学専門エージェントのファーストイングリッシュが、世界の英語留学市場、日本人の留学先、台湾をはじめとする東アジアからの留学動向をもとに、フィリピン留学の現在地を見ていきます。
Contents
世界ではどの国が英語留学先として選ばれている?

フィリピンの位置を見る前に、まず世界の英語留学市場がどのようになっているのかを確認します。
世界の英語留学市場について継続的に調査しているBONARDは、英語を学ぶ留学生の動向を把握するうえで、8カ国を主要なELT留学先として追跡しています。ELTとは「English Language Teaching」の略で、英語を学ぶための語学教育市場を指します。
英国・アイルランド・アメリカなど8カ国が世界の主要な英語留学先
BONARDの「Global ELT Annual Report 2026」で調査対象となっている主要8カ国は、イギリス、アイルランド、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、マルタ、南アフリカです。
いずれも以前から英語を学ぶ留学生を受け入れてきた国で、BONARDが世界のELT市場を継続的に比較する主要な留学先です。
2025年の学生数ではイギリスが約35万1,900人となっており、主要国の中でも大きな受け入れ規模を維持しています。イギリスやアメリカ、カナダ、オーストラリアなどは、長い間、大規模な英語留学市場を形成してきました。
2025年は主要8カ国だけで約90万人が英語留学
BONARDによると、2025年に主要8カ国で英語を学んだ留学生は901,877人でした。
さらに、学生が実際に受講した期間を合計した「student weeks(学生週)」は5,820,300週に達しています。単純に学生数だけを見るのではなく、「何人が」「何週間学んだのか」まで追っているのが英語留学市場のデータの特徴です。
約90万人という数字は、あくまでBONARDが追跡する主要8カ国の合計です。フィリピンやUAE、マレーシアなどはこの901,877人には含まれていません。そのため、この数字をそのまま「世界中の英語留学生の総数」と考えることはできません。
英語留学先の人気は「学生数」と「滞在期間」で見え方が変わる
英語留学先の規模を見るときは、学生数だけではなく滞在期間も重要です。
たとえば10万人が平均2週間学ぶ留学先と、5万人が平均12週間学ぶ留学先では、学生数だけなら前者が大きく見えます。しかし実際に提供される授業の総量は後者の方が多くなる場合があります。
BONARDの2026年版レポートでは、主要8カ国に留学した学生の平均滞在期間が2022年の8.3週間から2025年には6.5週間まで短くなりました。学生数だけではなく、短期間で英語を学ぶ人が増えていることも現在の世界市場の特徴です。
英語留学先の人気や市場規模を比べる際は、単純な人数だけではなく、学生数、学生週、平均滞在期間を分けて見る必要があります。
フィリピンは世界の英語留学市場でどんな位置にいる?

世界の主要な英語留学先が分かると、「ではフィリピンはどこに入るのか」という疑問が出てきます。
現在の国際的なELT統計では、フィリピンはイギリスやアメリカなどの主要8カ国とは別の市場として扱われています。一方、BONARDはフィリピンを従来の主要国と競争する新しい英語留学先の一つとして取り上げています。
フィリピンは従来の「主要8カ国」には含まれていない
BONARDのGlobal ELT Annual Reportで継続して比較されている主要8カ国の中に、フィリピンは入っていません。
主要8カ国は、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど、BONARDが同一の枠組みで継続的に追跡している既存の大規模ELT市場です。フィリピンは現在、この8カ国とは別の市場として集計されています。
そのため、主要8カ国の順位表だけを見てもフィリピンの順位は出てきません。一方、BONARD自身がフィリピンを従来の英語留学国と競争する留学先として取り上げるようになっています。
現在は世界で注目される新しい英語留学先の一つ
BONARDが2026年9月に公表したGlobal ELT Annual Report 2026の関連解説では、世界のELT市場で競争が広がっているとして、フィリピン、マレーシア、UAEを従来の留学先とは異なる新しい選択肢として挙げています。
現在の世界市場は、英語を学ぶならイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアという構図だけではなくなっています。
フィリピンは、伝統的な主要英語留学国とは異なる市場として成長し、現在では世界の英語教育市場で競争相手として名前が挙がる留学先になっています。
フィリピン留学が選ばれる理由そのものについては、フィリピン留学が人気な理由は?英語留学先として選ばれる秘密を解説で詳しく紹介しています。
2024年はフィリピンとドバイで10万人超の英語学習者を受け入れた
フィリピンの規模を知る材料の一つが、BONARDが2025年に公表した2024年の市場データです。
BONARDによると、2024年にはフィリピンとドバイを合わせて10万人を超えるELT学習者を受け入れました。
ここで注意したいのは「フィリピンだけで10万人」ではないことです。公表されている数字は、フィリピンとドバイの合計です。そのため、この数字からフィリピン単独の世界順位を算出することはできません。
一方で、フィリピンとドバイを合わせて10万人を超えるELT学習者が集まったというデータから、従来の主要8カ国とは別に、新しい英語留学市場が一定の規模まで成長していることが分かります。
フィリピン留学は日本人の英語留学先としてどのくらい人気?

世界全体では従来の主要8カ国とは別枠で扱われているフィリピンですが、日本人の語学留学に対象を絞ると、具体的な順位と人数を確認できます。
一般社団法人海外留学協議会(JAOS)は、加盟する留学事業者を対象に日本人の海外留学動向を毎年調査しています。
JAOS調査ではフィリピンが日本人の短期語学留学先で5番手
JAOS加盟留学事業者39社を対象とした2024年調査では、3カ月未満の語学留学で最も多かった渡航先はオーストラリアでした。
続いてアメリカ、イギリス、カナダ、フィリピンとなっています。
つまり、大学進学や高校留学、ワーキングホリデーなどを混ぜず、「3カ月未満の語学留学」だけを見ると、フィリピンはJAOSの2024年調査で5番手でした。
世界市場では主要8カ国の外側に位置するフィリピンが、日本人の短期語学留学では上位に入っています。
2024年は3,366人が3か月未満の語学留学でフィリピンへ
JAOSの2024年調査では、3カ月未満の語学留学でフィリピンへ渡航した人は3,366人でした。
同じカテゴリーでは、オーストラリアが8,081人、アメリカが7,198人、イギリスが5,740人、カナダが5,116人です。その次にフィリピンが続きます。
なお、この調査は日本人留学生全員を数えた国の出入国統計ではなく、JAOS加盟39社が取り扱った留学生を対象としたものです。そのため、「2024年にフィリピンへ語学留学した日本人は全部で3,366人だった」という意味ではありません。
調査対象を踏まえたうえで見ると、複数の留学事業者を同じ条件で比較し、日本人が短期語学留学でどの国を選んでいるのかを確認できるデータです。
欧米だけでなくアジアで英語を学ぶ選択が広がっている
JAOSの2024年調査では、フィリピンだけでなく、シンガポール、台湾、マレーシア、韓国などアジアへの留学が目立っています。
フィリピンを含むアジア地域への留学生数は、コロナ禍前の2019年を上回りました。一方、北米やオセアニアなどには2019年水準まで戻っていない地域もありました。
さらに2026年に発表されたJAOSの2025年調査では、フィリピンはすべての留学カテゴリーを合わせた渡航先ランキングで7位となり、全体の6%を占めました。台湾、シンガポール、フィリピン、マレーシアなど、アジアの留学先が上位に入っています。
2025年調査は海外教育旅行を大きく含む集計となっているため、2024年の「3カ月未満の語学留学3,366人」と人数をそのまま比較することはできません。ただし、最新調査でもフィリピンが日本人の主要な海外留学先の一つに入っていることは確認できます。
フィリピン留学は日本だけでなく東アジアでも選ばれている

日本のデータだけでは、フィリピン留学が東アジア全体でどのように選ばれているのかまでは分かりません。
フィリピンの英語留学市場は日本だけで成り立っているわけではなく、特に東アジアとの結びつきが強く、韓国や台湾からも長く英語学習者を受け入れてきました。
台湾では英語留学先としてフィリピンを選ぶ動きが強い
台湾の留学市場を見ると、フィリピンの割合はさらに大きくなります。
StudyTravel Magazineが台湾の留学エージェント14社を対象に行った2024年調査では、語学留学先としてフィリピンが40%を占め、1位となりました。カナダの20%、イギリスとアメリカの各10%を上回っています。
同調査に参加した14社が2024年に取り扱った留学生は合計4,613人で、そのうち語学留学が留学市場全体の71%を占めています。
すべての台湾人留学生を対象とした国全体の統計ではありませんが、現地の留学エージェント市場ではフィリピンが英語留学先として大きな割合を持っていることが分かります。
韓国・日本・台湾がフィリピン留学市場を長く支えてきた
国際教育業界誌StudyTravelは、フィリピンのELT市場について、従来から日本、韓国、台湾を主要な顧客層としてきたと紹介しています。
2017年にStudyTravelがフィリピンの語学学校14校を調査した際にも、主な留学生の国籍として日本、台湾、韓国が挙げられています。
現在のフィリピン留学市場は、東アジアからの英語学習者を長く受け入れながら形成されてきました。
フィリピンはアジア圏の英語学習者が集まる留学先になっている
日本の短期語学留学では上位に入り、台湾の留学エージェント調査では語学留学先の1位となっていることからも、フィリピンが東アジアの英語学習者に選ばれていることが分かります。
イギリスやアメリカなどの主要ELT市場が世界各地から学生を集めてきたのに対し、フィリピンは日本、韓国、台湾など東アジアを中心に留学市場を発展させてきた点が特徴です。その市場が現在、世界の英語教育業界でも新しい留学先として取り上げられるようになっています。
実際のフィリピンの語学学校にどのような国籍の留学生がいるのかについては、フィリピン留学にはどんな国籍の人がいる?外国人の友達を作る方法も紹介で詳しく紹介しています。
なぜ「フィリピンは世界で英語留学先○位」と言えない?
ここまでのデータだけでは、フィリピンを「世界第○位の英語留学先」と順位付けすることはできません。
現在確認できる主要な業界統計では、フィリピンを含む世界中の留学先を同じ方法で比較していないためです。
世界共通の英語留学先ランキングは存在しない
少なくとも現在公表されている主要な国際教育データでは、フィリピンを含む世界中の英語留学先を同じ方法で集計し、1位から順番に並べた公的な世界ランキングは確認できません。
BONARDのGlobal ELT Annual Reportも「主要8カ国」を共通の条件で追跡していますが、フィリピンはその8カ国には含まれていません。
一方で、フィリピンとドバイの学生数については別のデータとして公表されています。
主要8カ国の901,877人と、フィリピン・ドバイの10万人超を単純に並べて「フィリピンは世界○位」と計算することはできません。
国によって留学生数の集計方法が異なる
英語留学の統計が難しい理由の一つは、国や調査機関によって「留学生」の数え方が違うことです。
語学学校へ1週間通った人を含む統計もあれば、学生ビザを取得した長期留学生を中心に数える統計もあります。学校から直接集計する調査、留学エージェントから集計する調査、政府のビザや入国記録を使う統計もあります。
今回使用しているBONARDの数字も、JAOSの数字も、StudyTravelの台湾データも、それぞれ対象が異なります。
そのため、数字を見る際には「何人だったか」だけではなく、「誰を対象にした調査なのか」まで確認する必要があります。
フィリピンは主要国と同じ統計枠にまだ入っていない
フィリピンについて世界順位を出しにくい大きな理由は、従来の主要英語留学国と同じ統計枠で継続比較されていないことです。
同じ枠組みで比較されていないため、このことだけを理由にフィリピンの市場規模が小さいと結論づけることもできません。
BONARDは2024年にフィリピンとドバイで10万人超のELT学生を受け入れたことを報告し、2026年の最新レポートでもフィリピンをマレーシア、UAEとともに主要国と競争する留学先として挙げています。
したがって、世界順位ではなく、「従来の主要8カ国とは別の市場でありながら、新しい英語留学先として国際市場で規模を広げている」と捉える方が、現在のフィリピンの位置を正確に表しています。
世界の英語留学市場では「欧米だけ」が選択肢ではなくなっている

フィリピンが新しい留学先として取り上げられる背景には、フィリピンだけの変化ではなく、世界の英語留学市場そのものの変化があります。
これまで長く学生を集めてきた主要国でも、留学生数や留学期間に変化が起きています。
主要英語留学8カ国では2025年も留学生数が減少
BONARDによると、2025年に主要8カ国へ渡航したELT学生は901,877人で、前年から10%減少しました。
学生が受講した期間を示す学生週も大きく減少しており、学生数だけでなく留学期間の短期化が進んでいます。
2025年は、主要8カ国全体で2年連続の減少となりました。
一方で、すべての国が同じように減っているわけではなく、ニュージーランドや南アフリカのように伸びた市場もあります。世界の英語留学市場では、学生の行き先が以前より分散するようになっています。
フィリピン・マレーシア・UAEなど新しい留学先が競争相手に
BONARDは2025年の市場が変化した要因の一つとして、英語留学先同士の競争拡大を挙げています。
2026年版レポートでは、フィリピン、マレーシア、UAEなどが、費用や距離の面で従来の留学先と競争しているとしています。
世界の英語学習者にとって、英語を海外で学ぶ場所は英語を母語とする国だけではなくなっています。
英語教育を受けられる環境があり、海外から学生を受け入れる語学学校が発達した国であれば、英語圏以外でも留学先として選ばれるようになっています。
費用・ビザ・距離が英語留学先選びを変えている
イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアが世界の英語留学市場で大きな位置を占めていることに変わりはありません。
一方、BONARDは授業料、渡航費、生活費の上昇に加え、ビザ政策や入国条件の変化が学生の留学先選びに影響していると分析しています。
さらに、フィリピン、マレーシア、UAEなど、費用や距離の面で選びやすい留学先が増えたことで、英語学習者が比較する国そのものが広がっています。
その結果、現在は英語を学ぶ目的、留学期間、予算、渡航条件に応じて、従来の主要英語圏以外も候補に入る市場へ変化しています。
フィリピンと欧米の留学スタイルそのものの違いを知りたい方は、欧米留学とフィリピン留学を徹底比較|費用・授業・生活・向いている人の違いもあわせてご覧ください。
データで見るとフィリピンは世界で存在感を高める英語留学先

フィリピンが英語留学先として世界で何位なのかを、一つの数字で示すことはできません。フィリピンを含むすべての英語留学先を、同じ条件で比較した世界共通ランキングがないからです。
一方、複数の市場データから、フィリピンがどのような位置にいるのかは確認できます。
BONARDでは、フィリピンはイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの従来型の主要8カ国には含まれていません。一方、2024年にはフィリピンとドバイを合わせて10万人を超えるELT学生を受け入れ、2026年にはフィリピンがマレーシアやUAEとともに従来の主要国と競争する留学先として挙げられています。
日本では、2024年のJAOS調査でフィリピンは3カ月未満の語学留学先として5番手となり、3,366人が渡航しました。2025年の最新調査でも、すべての留学カテゴリーを合わせた渡航先ランキングでフィリピンは7位、全体の6%を占めています。台湾の2024年エージェント調査では、フィリピンが語学留学先の40%を占めて1位です。
フィリピンは、世界最大の伝統的な英語留学国ではありません。一方、東アジアではすでに主要な英語留学先の一つとなり、世界の英語教育市場でも新しい留学先として扱われるようになっています。
世界共通の順位だけでは測れないものの、世界のELT市場、日本人の留学動向、台湾をはじめとする東アジア市場を合わせて見ると、フィリピンが英語留学先として一定の規模を持つ市場へ成長していることが分かります。
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