
フィリピンについて調べていると、「フィリピン人を人前で叱ってはいけない」「プライドが高いので注意するときは気をつけた方がいい」といった話を見かけることがあります。
では、フィリピン人には注意をしてはいけないのでしょうか。
もちろん、そのような意味ではありません。授業の進め方を変えてほしい、寮の設備に問題がある、学校スタッフに改善してほしいことがあるなど、フィリピン留学中にも自分の希望を伝える必要がある場面はあります。
ただし、人前で強い口調で責めたり、相手に恥をかかせるような伝え方をしたりすると、内容そのものよりも「どう言われたか」が強く残ることがあります。
その背景を考えるうえで参考になるのが、フィリピン文化の「Hiya(ヒヤ)」です。
この記事では、フィリピン留学専門エージェントのファーストイングリッシュが、Hiyaとはどのような考え方なのか、人前で注意するときに気をつけたい理由、講師や学校スタッフへ要望を伝える方法についてご紹介します。
Contents
フィリピン人を人前で叱るのはNG?

「フィリピン人を人前で叱ってはいけない」と聞くと、何か問題があっても注意や要望を伝えてはいけないように感じるかもしれません。
実際には、注意や要望そのものを避ける必要はありません。大切なのは、相手に何を伝えるかだけでなく、どこで、どのような言い方をするかです。
人前で強く注意すると相手を傷つけてしまうことがある
講師や学校スタッフに改善してほしいことがある場合でも、他の生徒やスタッフが大勢いる前で強い口調で責めるのは避けた方がよいでしょう。
たとえば受付で多くの人が見ている中、「どうしてこんなこともできないの?」「何度言えば分かるの?」と強く問い詰めれば、相手は注意された内容だけでなく、人前で恥をかかされたことに、恥ずかしさや屈辱を強く感じることがあります。
これはフィリピンだけに限った話ではありません。日本でも、同僚や友人の前で強く叱責されれば嫌な気持ちになる人はいるでしょう。
ただ、フィリピンの文化を考える際には、周囲との関係や人前での恥ずかしさに関わる「Hiya」という文化概念がよく取り上げられます。
改善してほしいことがあるなら、人前で感情をぶつけるより、スタッフと個別に話せる場所を選び、何に困っているのかを具体的に伝えた方が話は進みやすくなります。
「フィリピン人はプライドが高い」だけでは説明できない
フィリピン人とのコミュニケーションについて、「プライドが高いから怒ってはいけない」と説明されることがあります。
しかし、それだけではHiyaを十分に説明できません。
Hiyaは英語では「shame」や「embarrassment」と訳されることがありますが、それだけで意味を言い切れる言葉ではありません。
フィリピン心理学では、Hiyaを単なる「恥」ではなく、その場にふさわしく振る舞う「礼儀の感覚」と捉える見方もあります。
そのため、「フィリピン人はプライドが高い」という性格の問題に単純化すると、本来の意味から離れてしまいます。
もちろん、すべてのフィリピン人が同じように人前での注意を嫌うわけでもありません。年齢、育った環境、職場、相手との関係、本人の性格によって受け止め方は変わります。
注意すること自体が失礼という意味ではない
フィリピン留学中に問題が起きたとき、「文化が違うから何も言わない方がいい」と我慢する必要はありません。
授業時間が短かった、希望した内容と授業が違った、寮の設備が壊れている、依頼したことが対応されていないなど、学校側に確認したり改善を求めたりすべきことはきちんと伝える必要があります。
重要なのは、「相手を責めること」と「問題を伝えること」を分けることです。
たとえば「あなたの対応は最悪です」と言うより、「昨日お願いした修理がまだ終わっていません。いつ対応できますか?」と伝えれば、問題点と希望する対応が明確になります。
これは相手に遠慮して不満を隠すという意味ではありません。必要なことは伝えながら、相手の人格まで否定しないことが大切です。
フィリピン留学中の会話や現地で気をつけたいマナーについては、フィリピン留学中に宗教や文化の違いで気をつけたいこと|現地で失礼にならない基本でもご紹介しています。
フィリピン文化の「Hiya(ヒヤ)」とは?

Hiyaはフィリピン文化を紹介するときによく使われる言葉ですが、日本語の一語にそのまま置き換えるのは難しい概念です。
「恥」と訳されることが多いものの、人間関係や周囲への意識も含めて考える必要があります。
Hiyaは「恥」だけではなく礼儀の感覚や周囲への配慮も含む
Hiyaは一般的に「恥」「恥ずかしさ」「気まずさ」などと説明されます。
一方、フィリピン心理学では、周囲との関係やその場にふさわしい振る舞いを意識する概念としても捉えられています。
そのため、「Hiya=恥」とだけ捉えるのも、「Hiya=プライド」と理解するのも十分ではありません。
周囲の人との関係の中で、自分の言動がどのように見られるのかを意識する感覚まで含めて考えると分かりやすくなります。
留学生にとって重要なのは、Hiyaという言葉を暗記することではなく、相手を人前で強く責めるより、相手の立場にも配慮しながら話す方がコミュニケーションを取りやすいと知っておくことです。
人前で恥をかくことを避けようとする意識と関係している
Hiyaを考えるうえで、人前で恥をかくことへの意識も重要です。
自分の失敗を大勢の前で強く指摘されたり、人として否定されたような言い方をされたりすれば、注意された内容以上に恥ずかしさや屈辱を感じることがあります。
恥ずかしさや屈辱が強くなると、本来であれば「どう改善するか」を話したかったのに、本来の問題について冷静に話しにくくなることもあります。
特に語学学校では、講師、スタッフ、生徒が毎日同じ場所で顔を合わせます。関係が続く相手だからこそ、問題がある場合でも、必要以上に相手の面子(メンツ)をつぶすような伝え方は避ける方がよいでしょう。
個別に話せる場所へ移動するだけでも、同じ内容を伝えたときの受け取られ方は変わります。
すべてのフィリピン人が同じ考え方を持つわけではない
Hiyaを理解するときに避けたいのが、「フィリピン人は全員こう考える」と決めつけることです。
Hiyaはフィリピン文化を理解するうえで参考になる考え方ですが、個人の性格を決めるものではありません。
人前で注意されても気にしない人もいれば、強いストレスを感じる人もいます。はっきり意見を言う人もいれば、言葉を選びながら話す人もいます。
また、語学学校の講師やスタッフは、外国人留学生と接することに慣れている人も多く、日本人とは伝え方や考え方が違うことを理解したうえで対応しています。
「フィリピン人だからこうしなければならない」と考えるのではなく、文化的な背景を一つの知識として持ちながら、相手本人の反応を見ながら接することが大切です。
フィリピン人に注意や要望を伝えるときのポイント

フィリピン留学では、講師や学校スタッフへ希望を伝える場面があります。
問題を我慢する必要はありませんが、相手を責める言い方よりも、何が起きていて、どうしてほしいのかを伝える方が解決につながりやすくなります。
人が大勢いる場所ではなく個別に伝える
注意や改善の要望を伝える場合、できるだけ他の生徒やスタッフが大勢いる前を避けることをおすすめします。
語学学校であれば、受付で大きな声で担当者を責めるのではなく、「少し相談したいことがあります」と伝え、担当スタッフやマネージャーと個別に話せる場所で伝えます。
講師について相談したい場合も、本人へ直接伝えにくい場合は、学校の学生マネージャーやアカデミック担当へ相談する方法もあります。
個別に話せる場所であれば、相手も落ち着いて事情を説明しやすくなります。
同じ内容を伝える場合でも、人前で責めるのか、一対一で話すのかによって話し合いの進み方は変わります。
感情的に怒鳴るのではなく何を改善してほしいか伝える
トラブルが続けば、腹が立つこともあるでしょう。
しかし、声を大きくすることと、問題が早く解決することは別です。
たとえばエアコンが故障しているのであれば、「Why haven’t you fixed it?」と相手を責め続けるより、「The air conditioner still isn’t working. Could you tell me when it will be fixed?」と現在の状況と希望する対応を伝える方が話を進めやすくなります。
授業についても同じです。「この先生はダメ」と伝えるだけでは、学校側は何を変えればよいのか判断できません。
「会話練習を増やしたい」「授業中に講師が話す時間が長すぎる」「教材のレベルを変更したい」など、改善してほしい内容まで伝えることで学校側も対応しやすくなります。
遠回しすぎず相手を尊重しながら具体的に伝える
相手へ配慮することと、言いたいことを曖昧にすることは違います。
日本人留学生の中には、「悪く思われたくない」「先生に申し訳ない」と考えて、困っていることを伝えられないこともあります。
しかし、学校側が問題を知らなければ改善することもできません。
「できれば何となく授業を変えてほしい」という伝え方ではなく、「スピーキングを伸ばしたいので、文法の時間を減らして会話練習を増やしたい」と具体的に伝える方が希望は伝わりやすくなります。
相手への配慮と、自分の希望を明確に伝えることの両方が、フィリピン留学中のコミュニケーションでは重要です。
フィリピン留学中にHiyaを意識したい場面

Hiyaを知っておくと、講師や学校スタッフへ要望を伝える場面でも役立ちます。
特に講師への要望、寮生活、学校スタッフへの相談では、問題の内容と伝え方の両方を考えることが大切です。
講師へ授業内容を変更してほしいとき
フィリピン留学ではマンツーマン授業が多いため、講師との相性や授業の進め方が気になることがあります。
「もっと発音を直してほしい」「会話の時間を増やしたい」「宿題を少なくして復習時間を取りたい」など、希望がある場合は我慢せずに伝えて問題ありません。
講師本人へ伝えやすい内容であれば、「I’d like to practice speaking more.」など、自分が何をしたいのかを中心に話すと伝わりやすくなります。
一方、講師本人には伝えにくい内容や、何度伝えても改善されない問題については、学校のアカデミック担当や日本人スタッフへ相談する方法があります。
本人へ直接伝えにくい場合は、無理にその場で話し合おうとする必要はありません。授業を良くするために、学校側と相談しながら対応を決めればよいのです。
寮や学校スタッフへ困っていることを相談するとき
寮生活では、エアコン、シャワー、Wi-Fi、清掃、ランドリーなどについて学校スタッフへ相談することがあります。
その際は、「最悪」「ありえない」と感情だけを伝えるより、いつから何が使えないのか、すでに誰へ相談したのか、いつまでに対応してほしいのかを伝えます。
設備の不具合を写真で確認できる場合は、状況が分かる写真を見せる方法もあります。
言葉だけではうまく説明できない場合でも、問題が起きている場所や状態を確認してもらえば話が早く進むことがあります。
英語に自信がなくても、長い文章を作る必要はありません。問題点と希望する対応を短く伝える方が、相手にも理解してもらいやすくなります。
トラブルは自分だけで解決せず学校スタッフへ相談する
問題が大きくなっている場合は、相手と直接言い合いを続けるより、学校スタッフへ相談してください。
学校によって、講師との行き違いはアカデミック担当、寮設備は寮や管理担当、他の留学生との問題は学生マネージャーなど、担当窓口が分かれています。
特に、自分と相手の認識が大きく食い違っている場合は、第三者に入ってもらった方が解決しやすくなります。
「相手を怒らせたくないから相談しない」のではなく、問題を大きくしないために早めに相談することが大切です。
盗難、体調不良、学校生活などで実際にトラブルが起きた場合の対応については、フィリピン留学中にトラブルが起きたら?盗難・体調不良・学校トラブル別の対応フローも参考にしてください。
まとめ|文化の違いを知って相手を尊重しながら伝えよう

「フィリピン人を人前で叱ってはいけない」という話は、何があっても注意してはいけないという意味ではありません。
フィリピン文化にはHiyaという文化概念があり、恥ずかしさだけでなく、周囲との関係やその場にふさわしい振る舞いを意識する側面があります。
だからといって、「フィリピン人はプライドが高い」「フィリピン人は注意されるのが嫌い」と一括りにするのも適切ではありません。
留学中に改善してほしいことがあれば、人前で感情的に責めるのではなく、個別に話し、何が問題なのか、どうしてほしいのかを具体的に伝えることが大切です。
また、自分だけでは解決できない問題は、学校の担当スタッフへ相談してください。
文化の違いを知ることは、自分の意見を我慢するためではありません。相手を尊重しながら自分の希望を伝え、話し合いやすい関係を作る助けになります。
ファーストイングリッシュでは、学校選びだけでなく、フィリピン留学中の生活や学校とのコミュニケーションについてもサポートしています。
「現地でトラブルが起きたらどうすればいい?」「英語で学校へ要望を伝えられるか不安」といったご相談も、留学前にお気軽にお問い合わせください。
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